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「借景」というと、京都にある龍安寺石庭の借景のような、和の伝統的なイメージを思い浮かべる方も多いことと思いますが、僕たちの住む北海道も、自然や四季の変化に富み、「借景」に恵まれている場所が多いと言えるでしょう。
僕もこれまでそういう場所に建つ建築の仕事に、少なからず関わってきました。
所有しなくとも共有できる「借景」という概念が僕は好きで、設計相談に来ていただいた方の土地探しのお手伝いをするときも、建築の計画をするときも大切にしています。
「借景」は、人々の心象風景に刻み込まれるようなありがたい象徴ともなり得、人の心のありように深くつながっているとも言えます。
今回は僕が設計した住宅のうち、「借景」と関わる作品をいくつかご紹介させていただきます。
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石狩湾を見下ろす銭函の崖っぷちに建つ住宅兼アトリエです。
ここからは海、空、街を俯瞰(ふかん)でき、自然と人が対峙(たいじ)していることを実感します。
一年中、日の出を拝むことができ、その位置によって季節の移行を感じ、その無限的な反復運動を確認できるのも、ありがたいことです。
「魅力的な場所であるほど長い時間を過ごすべき」との考えから、住み働く形態をとりました。

海側の大開口部と濡縁(ぬれえん)

居間より夏至の頃の日の出。
折れ曲がり部は既存樹をかわし、街への視線を与える。

海に向かう廊下

空に向かう階段
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都心に近いが、豊かな自然環境に恵まれた場所に建つ家です。
もともと生えていた大樹に向かうPASSAGE(小道)となる回廊を日々往来し、季節を感じつつ、大樹とともにある暮らしを楽しむことができます。
大樹は、目で見えているもの以上に象徴的な存在と言えましょう。
回廊の列柱は、無限に連なるようなイメージを想起させたいと考えました。
中庭からは円山の稜(りょう)線も借景しています。

道路側より。
PASSAGEとなる回廊は大樹に向かい、背景には円山の稜線。

敷地奥となる大樹の庭より。
薪ストーブの炎も楽しむ。

中庭より円山の稜線を借景。
母屋と離れが呼応し、その間を半戸外として楽しむ。
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都蘭島海水浴場のそばに建つ別荘です。
この別荘の海側にはすでに別の建物があり、その屋根越しに海を、山側は森を借景しています。
隣接する営業パーキング側はプライバシーのため開口部を抑制し、光と切り取られた空を楽しむようにしています。
空間全体において天に向かうような上昇感と連なりを持たせています。
施主からは、非日常感のある建築にしてほしいとの要望もいただいていました。

山側の森を借景。

海側の既存棟の屋根越しに海を借景。

天に向かう上昇感を持たせた室内空間。
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住宅街に建つ家です。
庭を「借景」として全面に生かす部分と、プライバシーを考慮し、半透明のスクリーンで視線を緩衝しながら、光と風は透過させる「光庭」「坪庭」を併せ持つのが特徴です。
周辺環境との関係を少し「閉じる」ことで、人が自身の内省に向かうことも期待しました。

1階のLDKからは庭を借景。
2階の半透明スクリーン部は3つの個室が面した「光庭」を、右手の半透明スクリーン部は浴室に面した「坪庭」を形成する。
「借景」は建築が周辺の環境に対し「開く」ことが前提ですが、「閉じる」という傑作とのバランスによって、瞑想(めいそう)的といえるまでに昇華された空間が創出されることもあります。
今後チャンスがあればそのような空間に挑戦したいと思っております。
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