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細長い庭のデザイン術:ラインで変わる空間

建物から敷地境界までのまわりの広さは、用途によって広くも狭くも感じられますが、形によっても印象は大きく変化します。
庭の場合、レストコーナーや植栽スペースなど、いくつかのゾーンで構成します。
幅が狭く、奥行きが深いような細長い庭は、レイアウトしにくいと考えられがちですが、それは、各ゾーンがどうしても一直線に並んでしまうからで、限られた幅の中でいかに幅広く見せるかがポイントとなります。
今回は、4件の細長い庭のデザイン例と、それぞれのポイントをご紹介します。



細長い空間を、奥行きに沿って縦に分割すると、それぞれのエリアはさらに細長くなってしまいます。
そこで、この直線を曲線にすると、分割されたエリアの幅は狭くなったり広くなったりします。
人の視線は、まず広いところに止まりますので、奥行きの細長い感覚が軽減されます。
また、植栽をする際、幅が広いところには、植物を散りばめたように植えることができますし、花壇のような高さのあるものを作らない場合でも、平面的な「動き」が出て、単調だった庭がリズミカルになります。

【事例1】

<写真1:施工前>
砂利と芝を民地石で一直線に仕切っているので、それぞれがかなり細長く見える。
施主は、ガーデニングを楽しめる庭を希望。


<写真2:施工後>
民地石を撤去し、ピンコロ(9cm角のサイコロ状の方形石)で緩いカーブを描いて、植栽スペースと砂利を仕切る。
最初に視界に入るのは手前の広い土の部分なので、ここに草花を散りばめたように植えると良い。


【事例2】

<写真3:施工前>
写真左から、家、民地石、壁の直線ラインができているので、塀に沿って一列に植栽しがちになる。


<写真4:施工後>
樹木を手前に植えたり、室外機は、前の土の面を踏まずに歩けるような曲線にする。
芝生をやめて草花を植えたいという施主からの要望なので、レストスペースを写真奥に設けた。(新品枕木敷きの部分。その前の石は、枕木の直線ラインを和らげるために、元からあった飛び石を敷き並べた)



花壇を作る際、直線で囲まれた中に、同じく直線ラインで高さのあるもの(花壇など)を入れてしまうと、もっと幅が狭く感じられます。
そこで、花壇も曲線で積み上げると、その中の植栽も奥行き感が出て、自然な感じになります。
さらに、レストコーナーやアプローチにも曲線をいれると、細長さが見事に軽減されていきます。


【事例3】

<写真5:施工前>
高台に建つ家の庭。
フェンス下のコンクリートが気になる。
写真右の階段の上が、リビングの大きな窓に重なるので、眺望と景観を楽しみたい。


<写真6:施工後>
花壇を曲線的に積み上げることにより、フェンスの下のコンクリートが隠れる。
レストコーナーの下もサークル状にして、全体的に柔らかい雰囲気を出し、芝生とのコントラストを楽しむ。


【事例4】

<写真7:施工前>
眺望は抜群で、晴れた日には市街が一望できるが、隣家が目についてしまう。


<写真8:施工後>
眺望を遮らないように樹木で隣家を何気なく隠す。
サークル状に敷き詰めたレストコーナーからのアプローチは、見た目が重たくならないように、飛び石風に30cm角の平板をカーブ状に描いて設置。



曲線を使うと柔らかさが強調されますので、建物がスタイリッシュ(流行的で上品)な場合、曲線を多く入れ過ぎると、逆に庭が浮いて見えてしまいます。
そこで、直線と曲線をバランス良く組み合わせます。
その場合、敷地を直線で囲まれたひとつのエリアとしてとらえて、部分的に曲線の要素を配置していきます。

【事例5】

<写真9:施工前>
鉄骨とコンクリート、ガルバニューム(鋼板の一種)の外壁といった無機質な素材に接する庭の空間は、建物と合った「カッコイイ」空間が理想的。


<写真10:施工後>
手前には、サイズの異なった英国製の平板をランダムに敷き詰めて直線を強調。
平板に接する植栽スペースも平板に合わせて直線的に囲う。
入口に新品枕木を置いて、人や犬が入らないよう開口部を狭くし、歩道と敷地の境界を明確にする。


【事例6】
<写真11:施工前>

しばしば道路と間違えられて、犬の散歩などで入ってくる人がいた。
施主がここで何かをするというよりも、単に道路から見える空間とし、手間もできるだけかけない庭とする。

<写真12:施工後>

道路側の平板と同系色のレンガを敷き、重厚感のあるダーク系のレンガで曲線ラインの花壇を設ける。
鉄骨の柱の赤とケンカしない色を使う事が重要。



L型に細長い敷地の場合、全景を同時に見ることはできません。
しかし、空間はつながっているので、可能な限り、見える手前と見えない奥のスペースを連動させましょう。
曲がった向こうの空間に、どんな庭が広がっているのか、見た人に期待感を与えることができるからです。
幅がどんなに狭くても、素材を変えれば、しっかりしたそれぞれのゾーンができ、日々のメンテナンスも楽になって過ごしやすい庭になるのです。

【事例7】

<写真13:施工前>
玄関横の庭へつながる一角。
右に曲がると庭のスペースが広がるが、家の壁とコンクリートの壁、さらには砂利を止めている民地石でかなり狭く感じる。


<写真14:施工後>
狭くしている民地石を撤去し、石畳を再現。
石を少しずつ右にカーブさせて、その先の空間に期待感を持たせる。
石畳は数百年前にイギリスで敷かれていた石を再利用。


<写真15:施工後2>
門扉は、閉めても植栽が見えるデザインを選ぶ。
外壁と同じ塗装でコンクリート塀を化粧し、統一感を出す。


【事例8】

<写真16:施工前>
写真13に写っている入り口から右に曲がったところの庭のスペース。
かなり細長いが、ここにレストスペースや芝生、小さな坪庭もほしい。


<写真17:施工後>
手前右が和室の雪見障子なので、その目線から見えるところに小さな坪庭を作り、庭に出てもゆっくり眺められるように縁台も設置。
奥はダイニングから出られるように階段を置いている。
縁台の斜め手前には砂場を設けている(写真ではネコが入らないように、深緑色のネットをかぶせている)


【事例9】

<写真18:施工前>
庭の奥(ダイニングルームの前)からみたところ。


<写真19:施工後>
手前は、英国製の平板を敷いたレストコーナー。
ここから和風空間を何気なく遮断するように手前に樹木を配置。
縁台は半円にしてちょっとしたオブジェ風にし、色を塀の上のフェンスと合わせて洋風の庭の中でも浮かない和風アイテムにする。


<写真20:坪庭>
坪庭に欠かせない景石、つくばい(茶室の入口などにある低い水鉢)、踏み石、玉砂利を、越冬する笹と合わせてアレンジ。
黒い角材は坪庭アイテムの六方石をイメージして、黒く塗装した防腐のツガ材。
雪見障子越しに見たときに、洋風の塗り壁を隠す役目と、レストコーナーから見たときの仕切りのために立てたもの。

<写真21:砂場>

子供が大きくなったら、砂を土に入れ替えて花壇スペースに変えられる。

<写真22:階段>

庭の置くのダイニングから出やすいように設置した階段は、子供のイスにもなる。


このように、敷地の形が細長くても、いろいろなゾーンを作ることができます。
肝心なのは、曲線を取り入れながらゾーンをきちんと分けることです。
そうする一つ一つのエリアで見ることができ、細長い庭ならではの楽しみ方が生まれてきます。
ぜひ、参考にしてください。


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2009年11月10日 15:32に投稿されたエントリーのページです。

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