一口に「住まい」といっても、さまざまなスタイルが存在します。
一般的には、建物の規模や間取り、暖房などといった基本性能となるハード面から住まいを考えるケースが多いと思いますが、実際には、趣味やライフスタイルといったソフトの部分が重要になってきます。
数値で表せるハードに対し、抽象的なソフトについてイメージするのは大変なことですが、性能(ハード)とデザイン(ソフト)には密接な関わりがありますので、そのバランスが取れたとき、初めて納得のいく住まいづくりができると考えています。
現在流通している既成の住宅やマンションの良いところを認めながらも、「もしこうだったら楽しいだろう」という感じで、これまで当たり前だと思っていたことを少し疑ってみると、住まいに対するイメージは一気に膨らむのではないでしょうか。
しかし、住まいのもうひとつ重要な側面として、経済の問題があります。
いくらイメージが重要といっても、それを実現するためには、やはりある程度の予算が必要になります。
「建築家と一緒に一から住まいを考える」
「ハウスメーカーに注文住宅をお願いする」
「新築マンションや建売住宅を購入する」
「今住んでいる家やマンションをリフォームする」
など、さまざまな選択肢がありますが、それぞれに相応の費用が発生します。
また、北海道の場合、冬の光熱費や維持費は安いに越したことはありませんし、資産としての価値も下がらない方が良いのは言うまでもありません。
ただ、実際には選択肢が多すぎて、客観的に比較することが難しい、というのが実情かもしれません。
私は、ユーザーの皆さんが何を望んでいるのかを把握し、イメージと経済のバランスをとりながら、限りなく理想に近い住まいを実現するのが、建築家の仕事だと思っています。
建築家に頼むとハウスメーカーに建ててもらうよりも建設費がかかると思われている方が多いかもしれませんが、一概にそうではありません。
ぜひとも、予算が限られているからといってイメージやデザインを諦めずに、気軽に建築家に相談されてみてはいかがでしょうか。
以下に、私が携わったいくつかの事例を紹介いたします。
残念ながら工事費などはここで公開できませんが、ご興味のある方はお気軽にお問い合わせください。
【途上の家】
私の自邸です。
もともと私道だった特殊な細長い敷地に建つ、トンネル型の住宅です。
この家では、新しい住まい方を提案しています。
私の場合、建築とは別に、音楽をもう一つの仕事としていることから、コンサートを開くことができる家に住んでいます。また、車が好きなので、車を家の中に入れ、眺めながら生活しています。
さらには、居間や寝室などを固定しすぎてしまうと「くつろぐときは居間」「寝るときは寝室」というように、生活が間取りに規制されてしまうので、あえてそれらを設けず、くつろいだり寝たりする場所を気分や状況に応じて選んでいくというスタイルをとっています。
自分の住まいですので、土地探し、設計、見積調整、工務店探し、現場監理まで一式を行いました。

【ポエティカ】
緑豊かな長沼の沢の上に建つフルオーダーの別荘です。
フルオーダーとは、前述の「途上の家」と同様、土地探しから現場監理までの一式を注文で受けることです。
オーナーは、時計やテレビが必要のない自然の中での生活を希望される方でした。
また、別荘としてだけではなく、室内楽のホールとしても活用できる空間を設計してほしいという依頼がありましたので、無垢材を多用した、美しく響く「楽器のような建築」を目指しました。

【野幌の家】
設計段階から、工務店と信頼関係に基づくプロジェクトチームを組んで完成した、変形敷地に建つ注文住宅です。
プロジェクトチームを組む利点としては、当方は設計と現場監理のみを行うことで設計料を削減すると同時に、工務店の経費も削減して全体の事業費をフルオーダー式と比較して5%程度削減することができることです。
この家の特長は、長屋のような空間にし、各部屋をオープンにすることで、特に奥様がキッチンに立った時に住まいのすべてが見渡せるようになり、そこから「家族の一体感」を生み出しました。

【キアラシリーズ】
住宅販売会社と共同で企画・開発を進めている提案型建売住宅です。
極力、既製品を用いながらも、光・風の取り込み方を工夫して、一般的な建売住宅にはない空間の構成やデザインを実現しています。
このキアラシリーズでは、大手ハウスメーカーの住宅よりも20%程度工事費を削減することが可能です。
住まいの汎用性と使い勝手を高める、さまざまな工夫を盛り込むことによって、資産価値ができるだけ下がらないようにしています。
もっとデザインやイメージにこだわりたい方には、セミオーダー式(こちらが提案した基本的な構成を残しつつ、オーナーの希望を取り入れていく方法)を選択して頂いております。

【伊達の家】
築30年の住宅のフルリフォーム(リノベーション;建物の大胆な再生)です。
住宅全体が暗く、また、寒かったこと、さらには水廻りが老朽化していたことから、既存の木組みだけ残して、すべてを新しくしました。
断熱改修をしてサッシをすべて交換すると同時に、住まいの真ん中に吹き抜けを設けることで、明るさと温かさを実現しました。
既存の木組みを見せながら改修を行うことで、「古いもの」と「新しいもの」の対話を目指しました。
新築住宅より約40%工事費を削減することができました。

▲写真左は改修前、真ん中の写真は改修中(既存の木組みを残した状態)、写真右は改修後
【音楽家の住処】
築25年のマンションのフルリフォームです。
オーナーは日々演奏をしたり、大きな音量で音楽を聴くので、まず、隣りの住戸に接する部分をすべて壁収納にするなどして、遮音性の向上を図りました。
また、音響空間の調整に使える可動式の収納も取り入れ、生活における音楽と建築の融合を試みました。
同規模の新築マンションの約半分の金額で、イメージに合った空間を手に入れることができました。

▲写真左は改修前、真ん中の写真は改修中(既存の木組みを残した状態)、写真右は改修後
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