心地よい空間

心地よい空間
空間ののびやかさは、単に床面積の広さだけで決まるものではなく、内部空間同士や、外部空間との目線の通りによって感じるものだと思います。
とくに、北海道は寒冷地であるため、今までは防寒的な性能を追い求めることに目的が置かれ、大きな開口部はつくられてきませんでした。
しかし、今では技術的な問題もほとんど解決したため、これからは、春の新緑や秋の色鮮やかな紅葉、冬の白一色になる景観といったように、一年中変化する魅力的な外部空間をいかに内部へ導き、それと調和された内部空間をどうつくることができるのかが求められていくと思います。
素材のこと
住空間の仕上げ材は、常に住む人が触れるので、仕上げをプリントやビニールクロスなどの「うわべだけの厚化粧」できれいに納めるのではなく、木材そのものや、左官の塗り壁など、本物の素材で構成することを常に心がけています。
本物の素材が持っている暖かさやあじわいにまさる物はないと思うからです。
たとえ、それが三等材やはね材、普段隠してしまう構造材でもです。
相生(あいおい)の家
過剰な設備を設けず、自然素材をなるべく使うということでした。
ですので、魔法瓶の役目をする、ブロック外断熱ダブル積(ブロック壁の外部側に断熱材を張り、さらにその外側にブロックを積んだ構造)で一階を作り、それを覆うようにして、木造の下屋(げや:一階の屋根部分)や二階を作りました。
玄関と居間空間をつなぐ土間は、壁と屋根をガラスにして、太陽光(ひかり、熱)を集める空間としました。
この土間を介して、居間にもひかりや熱のほか、魅力的な外部空間を視覚的に取り込む仕掛けとなっています。
暖房は、一階の床暖のみです。
二階には暖房機は設置せず、家全体をあたたかな空気が循環するようにしています。

▲玄関土間空間の外観

▲玄関土間空間

▲居間から見た食堂、土間。
床はナラフローリング無垢三等材。
壁はブロック素地・構造用合板素地。
一階の天井はつくらないで、二階床の梁や、床の下地材である構造用合板を一階から見えるように梁現し(はりあらわし)にした。
恵南の家
「家を持ちたいのだが、住宅メーカーに相談したところ、こちらの言う通りにプランはつくってくるが、ただそれだけだ」と相談を受けました。
階段を設けた広くて明るい居間、豊富な収納量を確保するなど、部屋の要望を聞いたうえで、私なりの空間構成を提案しました。
一階のスペースは、和室を中心にオープンとなり、吹き抜けを介した二階のプレイルームとも一体化して、充分な広がりを保っています。

▲2階平面図

▲居間から見る和室、食堂、2階のプレイルーム。
床はナラフローリング無垢三等材・タイル、壁は左官塗り仕上、天井は梁現しのうえ構造用合板塗装仕上。

▲プレイルームから見た居間と居間上部の吹抜け
居間のわん曲した壁に設けられたガラスは、光を通す壁としてのくもりガラスと、外部と内部を一体化させるための透明なガラスとで構成され、階段が空間のアクセントとなっています。

▲わん曲した南側外観。透明ガラス、スリガラス、金属板の壁、板壁を使用
北野の家1
若い夫婦二人の住宅です。家々が込み入った南向きの敷地(250平方メートル)に、130平方メートルのコンパクトな住宅を希望されました。
車庫と物置とした半地下のコンクリートの躯体(くたい)のために、居間が地上よりも2mほど上がったので、外部との接点として6畳ほどのテラスを設けました。

▲1階平面図

▲1階テラスとその上部にある2階のテラス
一階は、小さな空間の中で広がりを持たせるため、和室を居間と一体化しながらも障子戸によって仕切ることにより、個室としての機能を持たせることも可能となっています。

▲居間と和室と階段ホールが一体となった状態。
床はナラフローリング無垢三等材と畳、壁は左官塗り仕上、天井は左官塗り仕上、梁現しのうえ構造用合板塗装仕上。

▲居間と和室が一体となった状態

▲和室を個室とした状態
北野の家2
二世帯住宅です。
敷地の北側が、道路を挟んで小高くなっており、その斜面が森のようになっています。
施主の一番の希望は、その北側の緑を居間から望めるようにしたいとのことでした。
居間の太陽光を取り入れるため、南側に大きな開口部を設けましたが、北側の位置にも大きな開口部を設けて、その魅力的な緑を取り込み、居間の広がりと、緑が居間の一部分となるように演出しています。

▲北側の森の中から見た外観

▲1階居間から見た北側の森。
床はナラフローリング無垢三等材、壁、天井は左官塗り仕上。
住まいは、人間が日常の生活を営むための器だけではなく、心を豊かにしながらそこに住み続ける場所でなければならないと思います。
そのためには、家族の生活スタイル、住まいに対する思い、その敷地の固有の条件を住空間に反映させながら、施主と設計者が信頼関係を大切にして家づくりを進めていくことが大切なのです。
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