自然素材って?
家を建てる時、購入するときに丸太(木材)のことまで考えたことありますか
自然素材と言われて何を思い浮かびますか?
土や石、木材など色々ありますが木材に携わる私のお仕事上、「木」についてのお話をしていきたいと思います。
主に、インテリアなどに使われる「木材」についてのお話です。
はじめに、この「木材」はどのような過程を経て皆さんの手元に届くのか・・・・
伐採された丸太(輸入材を含む)は、旭川にある銘木市場へ集まります。
多い時には、本数にして2万本もの丸太が所狭しと並びます。
この銘木市場では月に1回のペースで丸太の売買がなされます。

この膨大な量の丸太を下見して歩き、買いたい丸太を選びます。
開催期間3日間の内、下見をできるのは2日間で最終日は、入札となります。

木の種類・長さ・太さは第一の基本になりますが、この他に・・・
ポイント1・・・木口(こぐち・丸太の切り口部分)の割れ
ひとくちに「割れ」と言っても色々な割れ方があります。
木の芯(年輪の中心)から放射線状にビリビリ割れたもの、バツの字に割れたもの、年輪に反って割れたものなどさまざまです。
割れのない丸太は本当にまれで、めったにお目にかかれません。
そんな中から選ぶのは、「1の字」(いちのじ:縦線の意味)の割れです。
ただし、「1の字」であれば何でも良いわけではなく、「元(もと・木の根っこ側)と末(すえ・木の枝葉側)の割れが同じ方向であるもの」を探します。
割れがない状態で、できるだけ長く使える板にするためです(詳細は後述します)。
例えば、時計の針で表現をすると・・・元の木口割れが1:05を示す割れ方、末の木口割れも1:05を示す割れ方。
一見同じ方向の割れ方と思われるかもしれません。
しかし、どちらか片方の木口から反対側の木口まで透かすように見たとき、こちらは1:05の向きでも反対は11:55の向きになり、割れ方を通して見た時に×の字になってしまいます。
このことに注意が必要です。
この選材は一人では出来ません。
丸太を挟むようにあっちとこっち、2人がかりで長い棒を割れに沿わせ同じ方向を向いているかを確認します。
ポイント2・・・木の癖
次に、丸太全体を見ます。
反りやねじれはないか。
木は正直に動きます。
反りがある場合は、割れと反りを見ます。
基本的に割れを立てる状態で製材をしますので、製材をする時の反りの方向を見ます。
板にしても使えるかどうか・・・また、ねじれた木は選びません。
製材をして板にした後も同じようにねじれます。
木の動きは丸太の状態から見えます。
ポイント3・・・表面に膨らみや腐れ
更に、見えている部分全体を見ます。
表面に膨らみがある場合は「節(ふし・枝のあと)や腐れ」が膨らみとして現れていることが多いので、それが何なのかを想像します。
あまりにも大きい場合は選びません。
良い板が採れないものは選材対象から外していきます。
腐れも同様です。
以上の選材ポイントをクリアする丸太に札を入れます。
その前に、この丸太はいくらの値を付ければ落札できるか?
欲しいからといって高値を付ければよいものではありません。
高値で落札してしまえば商品として販売される価格が高くなってしまうだけです。
ですので、同じ樹種で同じような形状のものが過去にいくらで落札されているのか、この丸太が1本いくらで落札できれば販売しやすい価格になるのか・・・そんなモロモロを考えながら入札金額を決めます。


(入札とは、買いたい丸太に値段を付けた札を入れ、一番高値の人が購入できるシステム)
≪札入れから落札までの流れ≫
進行役が「○番入札願います。」と言うと、その番号の丸太を買いたい人が金額を書いた札(ふだ・と言っても紙です)を一斉に上へ掲げ意思表示をします。
その掲げられた札を係りの方達が集めて走ります。
集められた札は開票担当へ渡り、一番高値を探し出す。
この入札もハラハラ・ドキドキです。
ほぼ一日かけて行なわれるのですが、丸太番号1番から順番に一点ずつ落札者名と価格が読み上げられます。
これはもう息つく暇がないほどの忙しさです。
札を集める人、開票する人、司会進行役はもとより入札者も忙しい・・・・入札会場で金額を書き込みながら札入れなんてのんきな事はしていられません。
下見が終わったその日から、金額を入れた札を用意しておかなければこのスピードに置いて行かれてしまいます。
「○番入札願います」と言われ、意思表示をして開票・発表までの所要時間・・・わずか3分たらず。
カップ麺の待ち時間より短い、膨大な量の丸太を一日でさばくのですから・・・。
発表される時は聞き逃す事は出来ません。
そんなわずかな時間の開票ですので少なからず間違いがあります。
間違いはその場で訂正していきます。
自分が入れた札の価格のほうが上回っている時は 「異義あり!」 で見直しをしてもらいます。
見直し後に訂正の発表があります。
それでは、同じ金額を入れた人が複数いる場合は?
その時は、くじ引きになります。
司会進行役から一名指名され、その人が右か左か真ん中か・・・手の向きで示し選びます。
それを壇上にいる人が引き抜きますが、その棒の先には「当たりは赤」が塗られています。
それを引き当てれば落札となります。
こんなにたくさんの丸太の中で諸条件を満たすものはわずか10本程度。
この10本のために一日入札現場に張り付くことになるのです。

▲長さ4m、太さ40cm以上の丸太たち

落札した丸太は、製材工場に集結させます。出来るだけ短期間で製材を済ませます。

普通、製材工場では丸太を製材する前の準備として表皮を機械でむいてしまうのが一般的です。
表皮が付いていると釘を見落としたり、丸太が転がらないようにハッカーという爪で引っ掛けて押さえるのですが、表皮がはがれてハッカーが外れるなどの危険を伴ないます。
が、今の流行は天然の面付き材です。
自然の形をそのまま残して加工した材木で、テーブルやカウンターなどの「面」がついた家具に適しています。
インテリア家具として外せないポイントの一つです。
テーブルやカウンターに無垢材を使った証しのようなものでしょうか。

▲ダイニングテーブル:胡桃(くるみ)材

▲据置型キッチンカウンター:アサダ材
皮むき機に掛けられては面が台無しになってしまいます。
ですので製材工場も表皮が付いたままの製材である事、カウンター材のような6mを超える丸太が製材できる事、この二つをまかなえる製材工場でなければなりません。
北海道内わずかな製材工場の中から依頼先を決めます。

丸太の向こう上部に鉄の爪があるのがご覧いただけると思います。
これが ハッカーという爪です。
右の画像が丸太にハッカーが掛かった様子。
この鉄の爪で丸太の転落を防止しますが・・・上部だけではありません。
下からも鉄の爪は出ています。丸太を鉄の爪でつまんでいる状態です。
機械に乗せた丸太は、ハッカーを掛ける前に割れや反りを確認しながら機械の上でクルクル回し、ノコを入れる位置を決めます。
ここで、前述の「丸太の選び方 ポイント1」で説明した木口割れが重要になります。
まず、「1の字」の割れを立てて製材をします。
まさに数字の「1」の状態です。
この割れと平行にノコの刃を通します。
もしも割れをノコの刃と直行すると、木口割れのある板が製材されてしまい、ノコの刃を通過した途端、「ビシッ」と音をたてて裂けたり、人工乾燥中に割れが延びて一枚板の木材として使えなくなってしまいます。
位置が決まったらハッカーがグサッと掛けられます。
準備が整ったら、機械で丸太の表皮面が真っ直ぐになるように元と末の出入りを調整して・・・いざ!ノコへ通されます。
一ノコ目は表皮を取る程度に通し、次からは製材する厚さの指示をしていきます。
その指示に従ってノコに通し板ができていきます。

ノコに通し、出てきた板の表面のはばで、テーブル用材に使おうか?カウンター用材に使おうか?など何に使えるようにするかで次に指示をする厚さを決めていきます。
そしてノコを通った先には・・・。

ちゃんと受け取る人が居るんです。
先取り(さきどり)と言いますが、ご覧のとおり「人力」です。
薄めの板であれば一人でも大丈夫ですが、カウンター用の厚さ6cmを超えるような板となると2、3人がかりです。
かなりの重労働です。
しかも、面を壊さないように気をつけなくてはならないので余計に大変です。
そんな作業を繰り返していくと丸太はだんだんと芯(しん・年輪の中心部分)に近づいてきます。
芯が近くなると大抵は「節・ふし」が出てきます。
節とは枝の跡を言い、枝は芯から伸びていきます。
その節の出方で流れ節というものになったりします。

▲枝跡に直行して製材した時の節(よく見るマル型)

▲枝跡に平行して製材した時の節(流れ節)・右上部
このように、インテリア家具・カウンター材が生まれます。
次はこの材料に割れ止め塗料を塗り、桟積み(さんづみ)して人工乾燥の釜の中へ入れます。
割れ止め塗布(とふ)、桟積みも全て人の "手" で作業されます。
釜の中で水分を出させる事2、3ヶ月、含水率をチェックしてOK!となれば釜から出されます。
釜から出た木材は更に1、2ヶ月桟積み状態のまま保管、これを「戻し・もどし」と言って内部の水分を全体になじませ落ち着いた頃に表面を削り、やっと商品として陳列されます。
見えないところで労力を費やし、手間が掛かるのです。
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