コレクションに囲まれて
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スキー場で有名な長野県・白馬。
ここで部屋数 4室だけの小さなホテルを営んでいます。
幹線道路から小道を入った小高い丘の上にあるその建物は、一見して普通の別荘風。
普通の家と変わらない。
「客室とバスルーム以外は、すべて私たちの生活空間でもあるんです。だから、家具も食器も業務用のものは何ひとつ置いてない。それどころか、自分たちが好きで集めてきたモノ、それも一番好きなモノをお客様の目に触れる場所に飾っています」
そもそも東京でテキスタイルデザイナーとして働いて、白馬に移り住むことになった背景には、「コレクションを活かす」という目的がありました。
「染色の仕事で京都へ行くたびに和食器を買ったりして、器や布や家具がアパートからあふれるくらいにたまっていました。グラフィックデザイナーだった省造さんも同じです。20代の半ばまでは仕事一筋でしたけど、突然"いい仕事をするにはいい生活をしなきゃあ"という哲学が芽生えて(笑)。2人で、コレクションを全部使ってしかも生活していけることって何だろう…と、そう考えてスタートしたのがペンションでした」
2軒目の宿泊施設となる現在の山荘は、その"いい生活"のお手本として、インテリア雑誌に紹介されることも多く、これから家を建てる家族が、建築家や工務店さんを伴って宿泊するケースもあります。
家づくりの準備にお金をかける 時代なのだな、と実感されているそうです。


キッチンの壁(上)と廊下の壁に飾った古い調理道具。
「実際に使われていた道具を飾るのが好き。ワイヤーは壁に映る影も美しいでしょ。
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白馬を選んだ理由のひとつが雪の降る土地ということでした。
「私自身はスキーをしないのですが、雪が大好きで(笑)。雪があってこその四季だと思っていますしね。でも、寒冷地の家づくりにはいろいろ問題もありました。ひとつは暖房の問題。できればすべてを床暖房にしたかったのですが、古い家具や調度を置くとダメになるし、植物はすぐに枯れてしまいます。だから古い家具を置くと決めた場所には、最初から床暖房を抜いてあるんです。その分、パネルヒーターで補っています」
民家の古材を使いたいと考えていた、同じ雪国の新潟から民家3軒分を運んできました。
古材はリビングや客室の柱や梁に使われ、深い味わいを見せて家具や布を引き立てています。
部屋中に配された様々なコレクションの中でも、ひときわ存在感を放っているのが布類です。
「私は最初から何々用と決めて布を買うことはしないんです。洋服用でもインテリア用でも、柄が気に入ると多めに買ってきて、全部自分で縫って、ベッドカバーやテーブルクロスなどにします。部屋のインテリアを決める場合は、まず面積の一番大きい布、敷物やソファ掛けなどですね、その布を決めてから次にテーブルクロスなどの小さなものを決めていけば間違いないと思いますよ」
夫妻は、毎年4月に1ヵ月間、イギリスのフラットと呼ばれるアパートを借りて、アンティークショップや蚤の市を回ります。
「初めてイギリスへ行ったとき、普通のお宅のキッチンを写真に撮らせてもらおうとして驚きました。よけるものが何もないんです。日本の台所だとカラフルなプラスチック素材のものなどがあって、脇によけてから撮影したくなるでしょう? そういうものが何もなくて、木べら、土鍋、ホーロー…、使い込まれたものがそのまま全部絵になるの。ああ、古いものをちゃんと使って生活するのって素敵だなぁと思いました。それから、アンティークの台所道具や食器を次々に集めるようになりましたね」

お昼ごはんを食べることの多いダイニングルーム。
テーブルクロスはバリの布。
食器は和洋折衷の料理に合う山荘のオリジナルです。

唯一、尺貫法でつくられた和室。
テーブルの布はインドネシアのアンティーク。
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コレクションというのは、いくら好みがはっきりしていても、年齢と共に趣味が変わっていくことも多いもの。
「私の場合も少しずつ変わってきています。そんなときには、強引にどこかに置こうとしないで、似合う場所が見つかるまで"とりあえずの棚"に置いておいて、じっくり場所探しをしてから移動するようにしていますね。まったく異質なものであれば、異空間を別につくることです」
モノたちが慎重に置き場所を与えられ、恭子さんの生活に溶け込んでいるからこそ、ギャラリーのように美しいのに温もりを感じる空間となっているのでしょう。
スキー板を積んできても滑らずにホテルでくつろぐお客さんが多い、というのもうなずけます。

ケーキ型とスコーンの冷やし網も壁飾りに。

床暖房で枯れてしまわないよう、室内の植物鉢にはすべてホルダーを使っています。

リビング、トイレ、バスルーム。
様々なところにイタズラっぽく存在する素材違いのヒトデコレクション。
「宇宙っぽい感じ」がお気に入り。

お2人の寝室に「異空間」として隔離されている、密かなコレクション「アンティークペンギンたち」。

リビング横のキッチンはカウンターで朝食をとったり、友人がきたときにコーヒーを飲みながらおしゃべりしたりするスペース。
ワイヤーや籐のバスケット、昔お菓子屋さんで実際に使われていたガラス瓶、色の美しいホーローなどが空間を楽しく飾ります。
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